一方、コロナ禍での患者増加の報告も相次いでいる。近畿大医学部の大塚篤司主任教授(皮膚科)は昨年、同大病院の外来で診療した帯状疱疹患者が「例年の1・5~2倍ほど多かった印象だ」と明かす。

大塚氏によると、コロナ禍前はがんや免疫疾患の患者が重症化するケースが多かったが、昨年はこうした疾患を持たなくても重症化に至る傾向が見られた。高齢者だけでなく、20代の受診もあり「例年とは明らかに様子が違った」という。

帯状疱疹はストレスによる免疫力低下で引き起こされることもあり、大塚氏は「コロナ禍で多くの人が行動制限やステイホームを強いられるなどし、ストレスを抱え込んだことが患者増加につながった可能性がある」と指摘する。

予防で重要になるワクチンは50歳以上を対象に任意接種となっている。従来の水痘ワクチンと同じ生ワクチン(1回接種)と不活化ワクチン(2回接種)の2種類がある。不活化のほうが発症予防効果が高いとされるが、費用は1回2万円程度と生(8000円程度)よりやや高い。大塚氏は「接種費用は自治体が補助してくれるケースもある。つらい症状に悩まされないためにも接種を検討してもらいたい」と話している。(三宅陽子)